不動産売却で「売値-買値」だけを利益にしない――取得費と譲渡費用の資料を残す理由
売却価格そのものに課税されるわけではない
不動産売却の税務を考えるとき、「1億円で買って1億2,000万円で売れば利益は2,000万円」と単純化しがちですが、税務上の譲渡所得は取得費や譲渡費用などを踏まえて計算します。購入時と売却時に何を支払ったかを証明できる資料が重要になります。
購入時資料を捨てない
売買契約書、領収書、仲介手数料関係書類、登記関係費用の資料、取得時の税金関係資料、建物や設備への支出記録などは、将来の売却時に取得費を検討するための基礎資料になります。ただし、支払った費用がすべて取得費になるわけではなく、費目ごとに税務上の取扱いを確認する必要があります。
建物は土地と同じ扱いではない
土地と建物では税務上の計算が異なる部分があり、建物については所有期間中の減価償却相当額が取得費計算に影響します。そのため、購入価格の総額だけでなく、土地・建物の内訳を確認できる契約書や税務資料を保存しておくことが重要です。
売却時の費用も記録する
売却のため直接必要となった一定の仲介手数料などは譲渡費用を検討する対象になります。一方、保有期間中の一般的な維持費と売却のための費用は性質が異なります。何でも売却利益から控除できると考えず、領収書と支出目的をセットで保存します。
非居住者は源泉徴収にも注意
非居住者による日本不動産売却では、一定の場合に売却代金の10.21%が源泉徴収されるため、手取り額と最終税額を分けて考える必要があります。
実務上の結論
不動産税務では、売却時になって過去の資料を探すより、購入した時点から「将来売る」ことを前提に資料を保存する方が確実です。個別の取得費、譲渡費用、特例適用は売却前に税理士等へ確認してください。
公的情報源・確認情報
2026-09-12